Column

葬祭コラム

エンバーミングのやり方

エンバーミングは「遺体衛生保全」といわれ、ご遺体を衛生的に保存安置したり、損傷した部位を修復します。また綺麗に死に化粧を施したり死に装束や、故人愛用の衣服などへの着せ替えも施し、その後、納棺をします。
その手順は、専用のエンバーミングルームで、手術台のようなエンバーミングテーブルに遺体を安置するところから始まります。そうして着衣を取り去り、皮膚の損壊や体色なども観察し、「死後硬直」がある場合はそれを解いていきます。
その後、消毒液を全身にスプレーし、身体全体の殺菌をします。これは体表に付着している微生物や細菌に対応するものです。同時に処理をする人、これをエンバーマーといいますが、の感染防御の意味もあります。そうして、遺体の洗浄が始まります。
特に鼻腔や口腔、その他の体腔内も消毒薬とコットンを用いて洗浄を行います。
目や口は原則、閉じて、含み綿などを施したりして顔を整えます。この時、場合によっては上下の歯茎などを縫い合わせることや、瞼を接着することもあるようです。最終的には、安らかな寝顔に整えます。
この行程までは、いわゆる納棺師や死に化粧師(エンゼルメイクなどといいます)が行えることです。
エンバーミングの大きな特徴は、血管に防腐液を注入することです。そのために、溶液の注入する動脈と血液を排出する静脈の切開を行います。おもに右鎖骨上部、及び右または左の太ももなどに1.5~2センチ程度の切開を行います。切開した部分からそれぞれの血管を露出させ注入と排出をはじめます。動脈よりエンバーミング溶液の注入を開始し、
同時に静脈から血液の排泄を開始します。
メチルアルコール、ホルマリンなどの防腐液を全身に行き渡らせるため、マッサージをしながら注入します。この防腐液に色素などを配合することにより、顔色に赤みをさすこともできます。
その後の処置後は胸や腹の内部に残った体液や内容物を吸引して、残存して腐敗しやすい物質を取り除きます。そこへあらためて防腐液を注入し、それが終わると切開部を縫合します。あらためて全身の洗浄を行い、拭き上げ、頭髪なども乾かします。切開をしたあとなど処置痕を修復し衣服を着せます。この時、遺族や故人の希望の着衣を身につけることができます。

 このように、エンバーミングのような外科的な処置ができるのは、医師かこのエンバーマーだけです。まったくその資格のないものが遺体を損傷するような処置を行うと遺体損壊罪が適用になることもあります。