遺体を運ぶ方法
病院からご遺体を移送する車を寝台車といいます。これらの車両は陸運局の許認可のもとに営業車として登録して運用されています。
ストレッチャー(折りたたみ搬送台車)にご遺体を乗せたままの状態で、車内に入れることができます。たいていはワンボックス型やステーションワゴンのようなライトバン型が多く使用され、火葬場へ赴く「霊柩車」とは区別されています。
大都市部では、寝台自動車会社として、搬送業務だけを専門で行っているところがありますが、地方では葬儀社が兼業してご遺体の搬送業務や霊柩業務を行っている場合が多くあります。つまり、病院搬送から葬儀社がかかわるということです。
寝台車は病院から主に安置先までの利用から、また安置保管先から通夜、葬儀が行われる葬祭ホールまでを利用することも多々あります。それぞれに料金がかかりますので、あらかじめ葬儀社にその目安を聴いておくとよいでしょう。
寝台自動車会社の付加サービスとしては、ご遺体の保全に必要なドライアイスの提供や初期対応としての枕机なども準備し場合によっては棺を搬入して、「納棺」をする場合もあります。24時間対応が基本ですが、夜間や早朝など通常の時間帯でない場合、また病院での待ち時間などに応じて料金が付加されることもあります。
また逆に、自社所有の寝台自動車を有している葬儀社では、あえて搬送料金をサービスの対象としているところもあり、葬儀社各社によってそれぞれ異なります。寝台車料金が無料という場合、その葬儀社での通夜葬儀施行を前提としているので、注意が必要です。
昔は、寝かせて運べるようなバン型の自家用車を持っている人が、ご遺体を布団にくるんで自宅に連れて帰ったケースもありますが、いまではさすがにそれは少なくなりました。
遠方の病院や遠くの旅先で亡くなった場合、その搬送料金は多額になります。十分その概算金額を確かめておく必要があります。たとえば旅先の九州から自宅のある北海道までということになると、その間、1.2日をかけて陸送する場合では2名以上の運転手が必要であり、走行距離数も膨大になります。このような場合、空輸という手もあります。そうすれば、出発と到着の空港間の寝台車料金と空輸料金で、寝台車で通して移送するよりも安くて早い場合があります。これも葬儀社に十分相談をして見積もりの金額を訊くとよいでしょう。
このようにご遺体を長距離移送する場合は、エンバーミングとか納棺をして、適切な遺体処置をすることが前提です。海外への搬送などでは、厳密にそれらの処置がないと運べない場合があります。また旅先で荼毘に伏すケースもあります。