こんなお葬式 人形の供養
大切にされてきたお人形やぬいぐるみは、愛着もありなかなか簡単に捨てることができないものです。お寺によっては、古くなったお人形や、捨てることのできないお人形等を年中供養するところもあります。人形の種類や素材によっては、持ち込むことができないことがあります。とくに燃えにくい陶器や金属、石製などは、「お焚き上げ」に不向きで、供養後の焼却処分ができないことがあります。
人形の種類では、日本人形や一般的なひな人形などがあり、また洋風人形、例えばフランス人形などがあります。ほかには手作りの人形やぬいぐるみなどもいろいろな種類があります。お寺によっては、おきものの羽子板やだるま、こいのぼり、まねき猫、フィギア、おもちゃなや絵画ども受付しているところもあります。持ち込む際には、大体はガラスケースなどは取り外しておく必要があります。
あるお寺では、人形を入れたダンボール箱1箱(一辺50cm程度)を1口として、ぬいぐるみなどかさばるものは、半透明もしくは透明のビニール袋、1袋(45L程度)に入れて送ると、その供養料(処分経費)は5.000円と一律に決めているところもあります。
人形供養の具体的な祭祀は、お寺で決めた日に(大体1年に1回)、持ち込まれた人形類を祭壇上に並べて、供養法要の読経をあげます。宗派によってはお勤め後、本堂境内にて大護摩を焚き合同での行事になります。
京都の宝鏡寺の人形供養を例にとって見ましょう。宝鏡寺では皇女方が入寺されていたことから御所より人形が贈られ、孝明天皇(こうめいてんのう)ご遺愛の人形をはじめ、由緒ある人形を数多く保存しています。昭和32(1957)年の秋より一般公開の人形展が始まり、その後関係者により年1回、秋に人形供養祭と物故者の供養祭を営んでいます。また境内には「人形塚」も建立され、いつの頃からか人形の寺として名高くなりました。
「人形塚」の歴史は意外と新しく、境内に建てられたのは昭和34(1959)年のことだそうです。1950年代半ばに、京人形商工業協同組合が、京人形を本格的にアピールしていこうと建立を計画したものです。塚には、京人形を象徴する愛らしい御所人形が彫り込まれています。その台座には、武者小路実篤の歌碑が寄せられています。
人形塚は、人形と人形制作に一生を捧げた人たちの供養塔として、真摯な意味を持っていると紹介されています。
人形よ 誰がつくりしか 誰に愛されしか 知らねども
愛された事実こそ 汝が成仏の誠なれ
武者小路実篤
http://www.hokyoji.net/kuyou.html から一部引用抜粋