墓じまいとお墓選び
田舎のお墓を、今の自分の住い近くに「改葬」して、その管理や供養を容易にしたいと希望する高齢者も増えてきました。
墓じまいには二つの意味があります。
墓仕舞い・・・大切なものを仕舞っておく意味での墓仕舞いです。
墓終い・・・・お墓そのものを無くする、撤去することを表します。
◆遠方にあるお墓の改葬実務
改葬のための申請書が必要です。今あるお墓の住所地の役場に届けを提出します。
1.改葬先の新しい墓所や納骨堂を探す
2.決めたら、そこで「受け入れ証明書」を発行してもらう
*上記は原則です。決めるまでの自宅保管や散骨などの場合はその旨を伝えます。
3.今あるお墓の管理者(住職・霊園事務所など)から「埋葬証明書」を発行してもらう
*お寺の場合は、「離檀」を伴うこともあるので、十分慎重に対応して下さい。
4.今あるお墓の市区町村役場に「改葬許可申請」をする
5.発行された「改葬許可証」を新しい墓所、納骨堂などの管理者に提出
6.遺骨の移動と旧墓地などで墓石の撤去や現状復帰など整地をする
*その際、閉眼供養などの法要をする場合はお布施が必要です。また石材店等には工事実費がかかるので、予め見積もりをしてもらうこと。
7.改葬先に埋・収蔵など納骨
*法要(開眼供養)などを行うことがあります。
◆お墓選びの知恵
自分のお墓は、こうしたい!と希望する人もいます。また子供たちに、なるべく不負担をかけたくないと思っている人もいます。お墓の承継で事実として確認しなければならないのは、「そこには自分はいない」。葬儀も納骨もその後の供養も、誰かに委託するということになります。
お墓選びの知恵として、自身の希望は2割、承継者の要望は8割くらい考慮した方がいいと思います。承継者あってこそのお墓です。自分自身が良かれと思って先走って準備しても、子供たちにおいては、それが不都合なことも多々あります。
お墓は祭祀財産として無税。節税対策で立派なお墓を立てる人もいますが、その規模や費用のことよりも「素朴な供養感性」の継続が何よりも大切なことではないでしょうか。
そこに「世代責任」を感じます。
また遺す資産があれば、その一部を「供養基金」(お墓参りやお墓の維持管理の経費)として使い道を定めておくことも知恵だと思います。